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魔法の合鍵 [現代詩]
魔法の合鍵
ピタリと閉じられた洞窟が
開けゴマ!と唱えると開くのだ
扉でもなく引き戸でもなく
自動ドアでもどこでもドアでも
山といえば川とつぶやく合言葉の
通行手段もまた違う
言葉の呪文で開くなら
時折閉じたがる内なる扉を
開く呪文で
種がはじけるように
鍵穴をカチリと鳴らして開けたい
迷える子羊がさまよう闇に
真っ直ぐ光る道すじを標したい
オープンセサミ
魔法の合鍵
解決の鍵
開けゴマ!
ピタリと閉じられた洞窟が
開けゴマ!と唱えると開くのだ
扉でもなく引き戸でもなく
自動ドアでもどこでもドアでも
山といえば川とつぶやく合言葉の
通行手段もまた違う
言葉の呪文で開くなら
時折閉じたがる内なる扉を
開く呪文で
種がはじけるように
鍵穴をカチリと鳴らして開けたい
迷える子羊がさまよう闇に
真っ直ぐ光る道すじを標したい
オープンセサミ
魔法の合鍵
解決の鍵
開けゴマ!
雪の大男 [物語詩]

雪の大男
おさとうをまぶしたような
雪山の上に
雪の大男が巨大雪だるまを作った
山はますます高く大きく
太陽はかくれ月も消え吹雪が続いた
長いこと家にこもっていた子どもたちは
こわがるのにもあきて
みんなで雪の大男に伝えに行った
子どもたちはやっぱりこわくて
歌を作ってみんなで歌った
♪雪だるまはすきだけど
太陽も月もすきなんです
雪だるまはかわいいけど
山のふもとで見たいんです
歌がやまびこになってひびいたあと
白い雪のようにしーんとなって
雪山からはなんにも聞こえない
子どもたちはがっかりして帰って行った
春はまだ遠い
つぎの朝
大雪だるまは山のてっぺんから
山のふもとにどっしりこんと降りていた
子どもたちは手をたたいて大よろこび!
けれど大雪だるまは
まゆげがかなしくたれていた
子どもたちは大雪だるまのまわりに
小雪だるまをいっぱい作って
ころころころとまあるくかこんだ
あくる朝大雪だるまは
うれしそうにわらった口になっていた
春が来て雪がとけてしまうまで
大雪だるまはいつもしあわせそうに
わらっていた
背がのびて雪山を見上げたときはっとした
雪の大男は
なだれがおきないようにかためて
大雪だるまを作ったんじゃないかって
遠い昔雪んこだった頃のお話
※最近読んだ本:あかねちゃんの涙の海 松谷みよ子 講談社 ・縦横無尽の文章レッスン 村田喜代子 朝日新聞出版 ・エルニーニョ 中島京子 講談社 ※建国記念日に冬の琵琶湖へ。湖北は雪で真っ白!
とじこめられた庭 [物語詩]

とじこめられた庭
半分開いた門から庭園に入る
休園日と気づきもどると
いつの間にか門は閉められ
とじこめられていた
何度叫んでも聞こえない
仕方なく庭園をさまよい
草花や鳥類や猿たちに
珍しそうに眺められる
やっと裏口へ出たと思ったら
川の広がるヴェランダだった
ほうっとため息をつき肩を落とす
川はずい分広くて
静かに暮らしているように見える
しばらく川を眺めていると
小さな遊覧船が
遠く川の上を滑るように通った
おーいおーい!と手を振る
向こうも嬉しそうに手を振ってくる
叫ぶと異常に気づき
観光の遊覧船を近づけ
こちらに寄って来てくれた
船長と観光客に助け出してもらった
後日新聞に
「花を背負った赤ずきん」
というコラムが載っていた
遊覧船に揺られている途中
庭園にとじこめられた赤い服の人を助けた
後ろに花をしょっているように見え
船に乗せても花の香りがして
花園にいるようだったと
文章は結ばれていた
お休みの日
お礼のお菓子を持って船の乗り場へ
そのあと遊覧船に乗ってみた
船から見える庭園は
遠い昔の物語のように
懐かしさを背負った
届かない楽園みたいだった
ぴょーっと異国の鳥が鳴いた
※土曜日、映画・逆転裁判の試写会へ。三池監督、成宮くん、宝塚で逆転裁判の主役、蘭寿とむさんが来てて、盛り上がりました! 府庁での場面、エキストラで映ってました。懐かしい! ※日曜は、渡瀬さん、上原さん、かたせ梨乃さんのドラマのエキストラへ。スタッフの俊敏な撮影は、見てて気持ちいいです。 ※草間彌生展!可愛いまるまる。体験型もあってとっても楽しかったです。
ネズミの角砂糖 [物語詩]
小道 [物語詩]

小道
「こんにちは」
小道を歩いていると
頭をこくんと下げてあいさつをされた
見覚えのない猫だった
猫は知り合いに会った時のまなこで
人なつっこく見上げていたから
「こんにちは」と思わず返す
「対岸で春告げ鳥が飛びました」
猫は流暢に話しかける
「きれいな発音ですね」
と伝えると猫は真っ赤になって
「ふにゃふにゃにゃー」
と猫語にもどり
はっとして
するり四つ足で走り去ってしまった
もっと話したかったけれど
誰かに間違われていたし
猫もほめられるのは多分嫌いじゃない
あの角を曲がれば
また会えるんじゃないかって
わくわくしながら
小道をゆく
※写真は、鹿ちゃんです。寒いと外猫さんはなかなか撮れないです。
歩く [現代詩]

歩く
いつも一緒にいた鳥さんが
こんなに早く天に昇ると
思ってなかったから
しばしぼう然と立ちつくす
今までなかった日常を
かき回してぐるぐる巡る
心のネガは
いつかことばのポジにして
夜から朝へ反転させる
時間の流れる道に
歩を刻んでいく
彫刻 [物語詩]

彫刻
ひぐまこぐまの彫刻が
ごろんと寝っ転がって
草原に展示されていた
そばで寝っ転んでみると
空の色
青いきもちで
いもむしごろごろをすると
ひぐまこぐまもついて来て
ごろごろごろん
草の匂いにくるまれ
転がり続けると
つるつるこぐまになって
ひぐまこぐまは
ころころころころ…
川へぼちゃん!と落っこちた!
ざっばーん!
川から上がったこぐまは
おとなのひぐまになって
大きな魚を捕って空にかかげた!
すたすたもどって来たひぐまは
魚をくわえると
木彫りの熊になって固まった
彫刻が出世魚みたいになるなんて
今度は海で展示する
しろくまこぐまを彫ってもらおう
まっすぐに
彫刻家のもとへ走って行った
交番の鳩 [物語詩]

交番の鳩
公園の向かい側にある
三角屋根の交番に
きちんと三角にとまる
数羽の鳩がいた
警察学校の研修生たちが
規則正しく
三角座りをしているみたいだ
整列した鳩研修生は
パトカーが出動すると
バサバサバサッ!
空へと一斉に出動
助けを求める者たちのもとへ
三角の目の者たちを丸く収めに
クルックー
明日へ羽ばたいていった
渡り鳥 [浮遊詩]

渡り鳥
キィーキー渡り鳥
カメラを構えた指を
パチン!とついばんだ
痛っ!と言っても
本当はちっとも痛くなかった
びっくりしただけ
驚くと声が出るのだ
ヒッチコック映画の鳥のように
頭上に羽根を広げ群がる鳥は
ちょっと恐く感じる光景だった
まるで映画の中にいる
車へ戻ると
1羽が車の上に乗っていた
―連れて帰るよっ
声を出すと
バサバサッ!遠のいて行った
飼われるのは嫌らしい
野生に出っくわすと
なごみが降りて来て
物語も自然に降り立ち
誰かをなごませたいと思うのだ
野生のなかの一員として
※今日、朝日放送ラジオで、昔書いたJOMO童話、月とホタルが朗読されてる!と、ゆきねこさんより連絡もらいました。今でもラジオで流してもらえるなんて、幸せです。前もって局から連絡下さると、もっとうれしいです。(朗読は清水ミチコさん!)
森の灯り [物語詩]

森の灯り
森の中をさまよい
暗くなり始めると
月がこうこうと光り
湿った森の陰で
きのこのランプが
ぽちっとつけられた
ツキアカリダケですね
リス博士が木の上から教えてくれた
お礼にくるみ入りのパンを
木の枝にのせて
ふたりで木の上と下で食べた
あんまり暗くなると
帰れなくなるから
月ときのこのランプを
もう一度ゆっくり愛でると
町の灯りに向かって歩いた
森は夜中も
動植鉱物が育つ博物館
生きた記録がきざまれ
空の下で凛とたたずみ
繋がる世界を仄かに灯す
※最近読んだ本 : ・すべて真夜中の恋人たち 川上未映子 講談社 ・麒麟の翼 東野圭吾 講談社 ・言葉の標本 小川洋子 文藝春秋 ・太陽の黄金の林檎 レイ・ブラッドベリ 早川書房
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