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厳格な記憶 [物語詩]

こどもいすⅱ.jpg

厳格な記憶

 

幼い頃

オルガンはシスターに習っていた

教会のある幼稚園だった

 

講堂で賛美歌を歌い

中庭の片隅で

うつむき加減な十字架の像が

堅い耳を傾けていた

 

オルガンの音は低く

うなるように鳴っていた

 

黒と白の制服のシスターたちは

頭から厳格さをまとい

黒白の鍵盤と同じ

整然と並ぶ正確さを

律儀に守ろうと努めていた

 

私はその厳格さに戸惑い

オルガンのレッスンをおこたり

とても上手に弾く子が

ほめられるのを横目で見ていた

 

やがてポツリポツリ

シスターたちは消え

ほかの幼稚園と変わらない

私服の先生に入れ替わっていった

 

園内で反乱があったと

大人になってから聞かされた

 

黒と白の鍵盤が並ぶ

シスターたちがぞろぞろと

廊下を渡って消えてゆく

 

厳格な記憶が

ひび割れた

古いフレスコ画のように

幼い想像の片隅で

消える寸前に残された








魔法のほうき.jpg望月通陽さん画.jpgタンゲくん.jpg










※最近読んだ本:つぼみ 宮下奈都 光文社 ・スコーレ№4 宮下奈都 光文社文庫 

・森のノート 酒井駒子 筑摩書房  

※先日、奈良の阿修羅くんに会いにいくと、猫のタンゲくんがいて、望月通陽さんデザインのお店を見つけたり。家に帰ると、魔法のほうきが送られてきてた。不思議な日。

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てのひら [物語詩]

おやすみ満月2.jpg

てのひら

 

小さい満月を

てのひらにのせる

黄色くてほんのり温かい

ぽうっ

と明かりを秘めている

 

夜の森を彷徨い

小径を照らし

野犬も寝床へ

遠くフクロウ鳴きホー

地面には光る石と

蛍光緑のキノコ群

月下美人は一夜

目を開き瞑る

 

夜が明けはじめ

満月は少しずつやせ細るように

夜に沈み見えなくなった

 

やがて

すっかり

早朝の陽射し

 

温かいおひさまを

手のひらにのせる

 

空のてのひら





光る玉.jpg








※ゆきねこさんが、この詩とおんなじ!と見せてくれた光の玉。すごいね、ブルーやオレンジや、色々に変わる光のへんげ。 

※最近読んだ本:メアリと魔法の花 メアリー・スチュアート 角川文庫                    ※映画も見てきました。楽しかった。ジブリへのオマージュ的場面が沢山溢れてました。駿さんの純真さみたいなのは、表現するのは難しいですね。


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青い遠吠え [物語詩]

遠吠え.jpg

 

青い遠吠え

 

青々と吠える

遠吠え狼のような

青色の切なさ

あおん

あおん

おおーん

 

遠吠えの悲しみは深く

水辺の底に沈み

青い湖水が生まれた

 

すくっても

すくっても

指からこぼれてしまう

清らかな野性

 

悲しみの果てを癒すのは

 

青い者同士

遠く渡り合う

青い遠吠え







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くまの名前 [物語詩]

 

くまの名前

 

しょっぱい海に住んでいた

しろくまに

ぼくは

しおくまと名付けた

ぼくにとって

はじめてのしろくまだったから

ほかのしろくまと

ちがいを付けたかったんだ

名前を呼ぶ

ともだちにぐっと近づく

 

「しおくま」

「なんだい」

「ちょっと呼びたかっただけ」

「わかるよ」

 

「くりくま」

「うん」

ぼくは栗色の毛皮で

りくに住むくりくり目だから

くりくまとしおくまは呼ぶ

 

ぼくたちは

名前が付いたときから

生きてるって気がした

 


ドリンククマⅱ.jpg


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ふわん [物語詩]

うさたち.jpg
ふわん

焼きたての食パンに
バターをのせると
とろけてふわん
うさぎのかたちになった


うさぎバターはねて
ふわん
とんでいった

すぐにもどってきて
さっきより
白いウサギバターに
なっていた

みるみるうちに
ウサギバターは
パンにしみこみ
白い雲のかたち

食パンを
さっくりかじると
ふわん
朝がやわらかく
白ウサギ雲の気分

ふわり浮かんで







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犬は見ていた [物語詩]

射光.jpg
犬は見ていた

犬は見ていた
遠くに霞む蒼い山々の向こう
通りを渡らなくなった老猫
子供達が駆け足で子供を通り越す時

犬は真っ直ぐな目をして
誰よりも深く澄み切った
温かな結晶を
肉球の中に掴んで離さず
大いなる心で
まるい地球の大地を踏みしめ

犬はじっと見ている






※TVで辻井伸行くんと五嶋龍くんの演奏を聞いて、温かくて優しくて、一瞬で泣けてきました。

〒郵便.jpg
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メロンソーダの泡 [物語詩]

なつのそら.jpg
メロンソーダの泡

ドーナツ店に行くと
決まってメロンソーダを注文
懐かしい味まぶしい色
はじけるまばたき

シュワシュワッと
メロン色したさわやかは
子供の頃からの
わくわく感そのまま

泡の中に
シュワシュワひきこまれ
透明グリーンの水中に
とぷん!
とひたされ泳ぎ出す

水平線を眺めるため
顔を出して浮かぶと
カランコロン鳴る
氷の透明がグラスのしずくと
冷たさを競い合い
コポコポ
透明のあぶくをはく
透きとおったさかながわらった

口の中でざわざわしぶきを上げ
さざめくさかなあぶくは
生まれ変わった新鮮な朝を連れてくる

さかなのかわりに
さわやかなあぶくの口になり
ストローでソーダを吸うと
ぱちぱちはじけて

目が覚めた
夏ソーダのシャワー





ハート型のぶどう!みっけ。甘酸っぱい。                                           ※最近卵の黄身が双子で、ミルクセーキを作りました。おいし。                                                                ※みどりのひょうたんは、自然史博物館で。暑くて溶けそうだった。この詩を読んで、涼しくなってくれるといいな。                                                                  ※今日は土用の丑の日。うなぎふわっとおいしかった。




ひょうたん.jpgハート型のぶどう!.jpg
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月曜日の美術館 [物語詩]

デトロイト美術展.jpg
月曜日の美術館

月曜日の美術館は静かだ

絵画の中は
サーカステントの雑踏
アルルカンが魅惑の仕草
犬と子は小道を駆け回り
少女が憂鬱の頬杖をつく
額縁の中を彷徨い
切り取られた過去に揺れ
ざわざわ
心の底が波打ち際に立つ

ふと我に返ると
旅の終わりの出口
静寂の美術館に囲まれ
体温がなめらかになる

余韻を味わう近隣カフェ
“四匹の猫”でお茶

スカーフを巻いた黒猫が
いらっしゃいませと給仕に来た
思わず目をこすったが
まだ
絵画の旅は終わりそうにない





※月曜ピカソ展に行って描いた詩作。ピカソ初期の作品に惹かれました。                                                ※天王寺デトロイト美術館展では、8月火水木(祝除く)は絵画が撮影可能!楽しかった。                                 ※ハルカス美術館のスターウォーズ展前にライトセーバー!ちびっこ戦うの?!


ライトセーバー.jpg
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時計草の裏庭 [物語詩]

文化園のバラ.jpg
時計草の裏庭

煉瓦の壁向こうの庭園
時計草の裏に
新しい時が隠れている
香りと美と愛しさ
癒しの夢想と一緒に

時を止め逆回転し
長く短くなる時の魔法

流れをゆるやかにするのは
時間の問題でも時の運でもなく
どれだけ心に大きな野原の
広がりがあるかということ

時計草の裏庭の分室に
時間の種を知る
植物学者と鳥が暮らしている
ひとはひとつの願いを続けると
時間を重ねた分だけ
魔法使いに近づく

魔術の種を心で読みとり
時を重ね真実を描いて







※最近観た映画:ブ―リン家の姉妹 ・ソロモンの偽証 前編 ・海街diary  ・衝撃的作品のあとに和む作品をみると、日常のなにげないことに、はっとした。大切なことがこぼれ落ちていた。
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熊の序章 [物語詩]

パンダレッサー.jpg
熊の序章

ー何せ、たくさん読み散らして
いるものですから
ホワイトグマさんがいった
読書家なのだな

三時のおやつのやまびこパンを
もぐもぐほおばり
物語「熊の行水」の
感想を伝えに
訪ねて来てくれたのだ

ー熊についてですね、
少し勘違いがあるかも知れません
ホワイトグマさんがいうことには
野ぐまと海ぐま
生き方の半分は
茶色と白くらい違いがあるのだと

ーじゃ、まいりましょう
ーえ、どこへ?
ホワイトグマさんは
たっぷりのカフェ・オレを
コクコクコクッ
ー気に飲み干すと
椅子から立ち上がり
ー違いを知りにですよ
ーや、教えてくれるのですか?
ーもちろん!いい話は真実を見ないと
(わくわくわくわく!)
体温が上がって熱くなってきた

熊と旅をするなんて
それだけで熊の序章だ
手帳とペン
やまびこパンと水筒
♪ハナウタも鞄に詰めて

ホワイトグマさんと
冒険のはじまりを
物語を奏でるように
てくぽく
てくぽく歩いていった




図書館のねんね.jpg




※京都市動物園の図書館にともだち作の絵本ねんねが!

お茶っこ.jpg





※先月ゆきねこさんのお茶っこ体験講座へ。心地よい賢治さんのおはなし。とっても勉強になりました。
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